『高額療養費制度』限度額適用認定書は先に提出しておいた方が本当に良い!?

皆さん健康保険証をお持ちのことと思いますが、この健康保険証というのはかなり優れた機能がついてるということを認識されてますでしょうか

そのうちのひとつがこの『高額療養費制度』です。

特に医療費に関してはこの機能をきちんと理解していないことで、数十万から数百万のお金を余分に支払ってしまう可能性がありますし、過分な生命保険に加入しているケースも散見されます。

世の中には、知っていると知らないでは結果に雲泥の差が出るものがたくさんありますが、そのうちの一つがこの高額療養費制度だと思っています。

この制度をご存知の方も少しずつ増えてきたように思いますが、まだまだ浸透していない制度ですのでしっかりと解説をしていきます。

高額療養費制度の仕組み

まずはこちらの表をご覧ください。

左側に疾患名が並んでいます。そしてその隣に医療費と書いてありますが、これはもし仮に保険証を持っていなかった場合10割負担で払わなければいけない金額のことを指しています。

例えば一番上の胃の悪性新生物の場合は10割負担で105万円なんですが、ほとんどの方は保険証をお持ちだと思いますので、そうすると3割負担の31万5,000円で済むということです。

ここまではご理解されてると思いますが、実は高額療養費制度を使うことによって、実際の自己負担金額が一番右側にある8万8,000円になるということです 。

厳密に言うと、これは年収によって自己負担額の計算方式が変わってきますので後ほどご説明しますが、医療費の自己負担額には上限値のようなものがあって、それ以上払わなくても済むというのが高額療養費制度だとご理解ください。

先程の自己負担額というのはこちらの式をもとに計算しました。

実際は先程申上げたように自己負担額というのは収入によって変わりますので、収入別の自己負担限度額の計算式はこちらの図のようになります。

(出典:協会けんぽHP)

実際の支払いイメージ

こちらは協会けんぽのホームページを見ると

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。

と記載があります。

この同一月(1日から月末まで)というのは大事なポイントです。

高額療養費というのは、一度窓口で3割負担をした後に用紙を書いて申請をして、その後に差額分が戻ってくるという仕組みです。

申請をしてそのレセプトが保険事務所に届くまでに3カ月ぐらいかかりますので、3か月~4か月後の手続きになります。

ですのでその間、自腹を切って出さないといけないのでちょっと痛いなあっていうことであれば、事前に限度額適用認定証を出しておくことで、窓口の段階でこの限度額までしか支払わなくていいということになります。

高額療養費制度が適用されないもの

差額ベッド代


出典:厚生労働省「第401回中央社会保障医療協議会・主な選定療養にかかる報告状況」より作成

大部屋から4床以下の少人数部屋、そして完全個室を希望する場合はこちらの差額ベッド代がかかります 。

これはあくまでも平均値なので、地域差がありますが、一番高いのは東京です。

こちらは高額療養費の対象外になっていますので、全額実費負担をすることになります。

ちなみにこの差額ベッドに関しては、あくまでも患者さんの意思で移りたいと言った場合に発生するもので、たまたま部屋が空いていなかったから病院の方からなんとなくふわっとご案内された場合には後でトラブルになるケースがあります。

病院都合の場合は差額ベッド代に関する承諾書にサインする必要はありませんので、ここは覚えておいた方がいいですね。

食事代

食事代は一食の自己負担が460円、1日で1,380円となりますがこれも対象外です。

自由診療、先進医療

自由診療と呼ばれるものも対象外となっています。

美容成形や歯科矯正、健康診断、予防接種といったものは全額実費負担です。

先進医療医療と自由診療はちょっと似て非なるものでして、先進医療というのは今後3割負担にするかどうか検討中の最先端の治療になります。

3割負担で済むようにするべきかを日本全国の大学病院とかすごい病院で今まさに研究段階にあるという状況で、高額療養費の対象外です。

注意点とお得に使うためのポイント

ここで注意点なんですが、

例えば、がんの治療費を限度額適用認定証で清算して、数日後にオプジーボのような高額な抗がん剤の費用も限度額適用認定証で清算したとなるとその都度の自己負担上限額8万円が2回発生することになります。

同じ月内であれば上限額が8万円で済むはずですので、再度高額療養費の申請を行う必要があり、手間がかかります。

ですので、同じ月内に複数の医療機関を受診したり、薬代を支払う可能性がある場合は一旦手出しでの負担にはなりますが、後から高額療養費の申請をした方が手間が楽です。

あともう一点、ちょっと裏技的な使い方になりますが、クレジットカードで先に3割負担分を払っておいて後から還付を受けるようにすれば、ポイントがお得になるというやり方もあります。最近はクレジットカードをつかえる病院も増えてきていますので、覚えておくといいかもしれません。

付加給付とは

実は自己負担額がさらに低くなる制度として『付加給付』というのが存在します。

これは健康保険組合によってまちまちなのですが、下図のように自己負担上限額が20,000円という健康保険組合も存在します。

以上が『高額療養費制度』です。

是非一度はご自分が加入している健康保険組合のホームページをご覧になって、病気やケガで医療機関を受診した場合にどういう制度が受けられるかを確認してみてください!

動画でも分かりやすく解説しています。