【初心者向け】「債券」の値段はどうやって決まるのか

私は9年間一緒専属の生命保険営業マンとして勤務した後、2019年に独立し、今は IFA という立場で金融商品の仲介業と中小企業の財務改善のコンサルティング活動を行っています。

投資を始めようと思った時に『分散投資』という言葉をよく見かけることと思います。

株と債券は反対の値動きをするので、株価が下がった時でも、債券を一定割合持っておけば資産を大きく減らさなくて済むよ。

債券の値段って何で決まるのか、そもそもなんで債券の値段が変化するのかというのは、解説サイトを見ても、正直なところ、よくわからない方も多いんじゃないかと思います。

債券をきちんと理解しないと…

実際私も債券の値段が何によって決まるか、どうして変わるのかっていうことを理解するまではかなり時間かかりました。

「債券」を理解せずに投資や資産形成を始めてしまうと、意味のない分散投資をしてしまったり、将来の資産を目減りさせてしまうことにもなりかねません。

そして債券の理解が曖昧ですと、 バランスファンドであったりターゲットイヤー型ファンドそしてファンドラップと言ったものを 、よく理解しないまま購入してしまう可能性がありますので、 ここは是非理解を深めていただきたい部分です。

では始めていきます。

債券の仕組み

満期と額面金額と利息は変わらない

例えばここに額面10,000円の債券があったとします。

満期は10年間10年経ったら額面10,000円そのままで元に戻ってくる、こういう債券だとします。

10,000円が10年後にそっくりそのまま10,000円返ってきたとしても誰も買ってくれませんので、債券には利息が付いています。

このケースでは年間4%の利息がついた債券という設定にします。

でこの利息というのは額面の10,000円に対してかかる利息です4%ですから毎年400円の利息が受け取れるということですね。

ここで重要なのは、額面の10,000円そして、4%の利率は10年間変わらないということです。

そして10年後に必ず額面と同じ金額を受け取るということ。

要するに、満期と額面金額と利息は変わらないということです。

「利回り」とは

ではなぜ債券の価格が変わるのかということをご説明しますが、その前に重要なキーワードを覚えていただく必要があります。

それは「利回り」です。

利回りというのは、次のように計算します。

10年間でこの債券から得られる収益、これは400円かける10年分の利息という事で4,000円ですね。ということは10年間で40%の儲けが出ました。これを1年の儲けということで計算すると4%という数字が出ますこれが利回りです。

債券の値段が変わるのは市場で売り買いができるから

債券というのは世の中に出回っている金融商品ですから売り買いができるということです。

例えばAさんが先ほどの額面が10,000円の債券を購入して6年間経過したとします。

するとちょうどこのタイミングで、この債券を10,300円で売ってほしいというBさんが現れました。

実はこの時現金が欲しかったので、債券を売ってしまいました。

この時の Aさんの利益を計算してみると、

400円の利息を6回もらいましたので、2400円ですねなおかつ10,000円だった債券が10,300円で売れましたので 300円が売買益となります。

ですので2400円の利息と300円の売買益を足して2,700円の儲けが出ました。

6年間で27%の利益ですから、1年あたりの利回りは4.5%ということになります。

利回りという観点で見ると10年間保有していた時よりも利回りは上がりました。

そして今度は債券を買った B さんの儲けを計算してみると、400円の利息を四年間受け取りますから1,600円ですが、10,300円で買った債券は額面の10,000円でしか売れませんので、売買益は300円のマイナスになります。

そうするとトータルの儲けは1,300円になり、四年間の利回りを計算すると3.16%ということになります。

ちなみに、期間の途中から買って最後まで持っていたということで、Bさんの利回りの事を「最終利回り」と言います。

世の中の金利が低いと債券価格は上がる

 例えば世の中の金利が1%だったとすると、4年間ではありますが、年間3.16%の利回りというのは魅力的に映ります。

ですから額面より高い金額で債券を購入したとしても、 4年間の儲けは増えるので買う価値があるということです。

このように、発行時の高い利息こそが債権の魅力ですので、市場金利(世の中の金利)が低い局面であればあるほど、既に発行されている債券の魅力はより高まり、債券価格はますます上がっていきます

債券価格と金利は逆相関の関係…だった

こちらの図をご覧ください。

債券価格と金利の関係というのはほぼ完全に逆相関関係にあると言えます。

今までの20年間というのは金利がじりじりと下がっていく傾向でしたので、債券価格というのは細かく上下しながらも上昇していきました。

ここで確認しておかなければいけないのは20年前の金利は2%程度だったということです。

2%から下に下がる余地があったので、債券価格が上昇しました。

しかしこれからの20年はどうなんでしょうか。

現在の金利はほぼ0%、果たしてこれからさらに下がる余地はあるのでしょうか。

何が言いたいかというと、これからの債券市場においては過去20年間とこれからの20年間では前提条件が全く違うということです。

過去のデータが当てはまらないということなんです。

もちろん今後金利が上昇する可能性はありますが、もし仮にこの超低金利の状態が今後も続くとすれば債券の価格上昇は相当期待しにくいと言えます。

まとめ

  • 市場金利(世の中の金利)が下がれば債券価格は上がっていく
  • もしこの超低金利の状態が今後も続くとすれば、債券の価格上昇は相当期待しにくい

今回は国内債券を用いて「債券」の仕組みをご説明しましたが、米国でも金利の低下が進行しており、将来の債券価格の上昇は期待できないという見方も多いです。

今までの「債券」とこれからの「債券」を同じように考えていると、資産形成の大きな落とし穴となりますので注意が必要ですね。