積立投資で『国内債券』を買ってはいけない2つの理由

様々なメディアや書籍、専門家の意見等で分散投資が推奨されています。

私もまとまったお金を資産運用していく上ではこの考え方には賛成ですが、これから積立投資を始める場合においては、債券を用いた分散投資にメリットを感じておりません。 

むしろデメリットしかないと思っています。

株と債券は反対の値動きをするので、株価が下がった時でも、債券を一定割合持っておけば資産を大きく減らさなくて済む。

上記のような理解で今までは良かったのかもしれませんが、これからはこういう漠然とした理解では通用しなくなっていきます

今回はこれから積立投資を始めるにあたって、何故、国内債券ファンドを入れるべきではないか、私なりの意見も含めて分かりやすく解説をしていきたいと思います。

この記事を読んでいただくと、漠然としていた債券の理解が深まり、どのように債券を組み入れていけばいいのか理解できるようになりますので、是非最後までご覧ください。

債券価格は今後どうなる!?

今回のテーマでは「債券」の理解が前提となっておりますので、まずはこちらの記事をご覧になってから読み進めて下さい。

https://flyingace0118.com/?p=855&preview=true

過去の債券の運用成果

※ 期間は2001/10~2016/12。( )内は収益率。国内株式は日経平均株価、国内債券はNOMURA-BPI総合、外国株式はMSCI KOKUSAI(配当込み・グロス・再投資)、外国債券はシティ世界国債インデックス(除く日本)を用いて計算
※ 出所:野村證券、日本経済新聞社、シティグループ、MSCI Inc.のデータを基にニッセイアセットが作成

これまでは国内債券でも約2%程度のリターンが得られておりました。価格変動もほぼなく、基本的には株価と逆の値動きをする資産として債券は分散資産として重宝される存在でした。

金利と株価と債券価格の関係

こちらの図をご覧ください。

債券価格と金利の関係というのはほぼ完全に逆相関関係にあると言えます。

今までの20年間というのは金利がじりじりと下がっていく傾向でしたので、債券価格というのは細かく上下しながらも上昇していきました。

ここで確認しておかなければいけないのは20年前の市場金利は2%程度だったということです。

2%から下がる余地があったので、債券価格が上昇しました。

しかしこれからの20年はどうなんでしょうか。

現在の金利はほぼ0%、果たしてこれからさらに下がる余地はあるのでしょうか。

債券価格が上がるもうひとつの理由としては株価の下落があります。

債券を購入している方の多くは投資目的がほとんどかと思います。

株価が下落する局面では、資産の目減りを食い止めるために株を売って別の資産を保有しようという考えがはたらきます。

ですので、代替資産として債券を買う人が増えると、債券価格が上昇するということは可能性としてはあります。

事実、今までは株価が下がると債券価格が上がるという構図がありました。

ところが直近のコロナショックでは一時的に株価の暴落と同時に、債券価格も下落しました。

冒頭に申上げたような株と債券の逆相関の関係というのは、今後は当てはまらなくなるかもしれません。

国内債券ファンドの現状

ではここで、実際に債券ファンドを見てみることにします。

モーニングスターのサイトから銘柄を選んでいきます。

国内債券の銘柄の数は72本、総合レーティングの高いものから順番に並んでいます。

ここでソートをかけて利回りの一番高いものを検索します。するとダイワ円債セレクト超長期国債という銘柄が出てきました。

このあたりの説明はこちらの動画をご覧いただいた方が分かりやすいと思います。

見て頂きたいのは3年リターンの部分ですね、直近3年のリターンが2.02%ということはこれを3で割ると1年間で0.67%のリターンです。

信託報酬を見てみると年間で0.19%ですので、これを差し引くと実質0.48%のリターンということです。

ところがこれは過去3年間の利回りですので、目論見書を確認していきます。

すると最終利回り0.3%と記載があります。

最終利回り:発行済債券を満期まで持っていた場合の利回りのこと。

この最終利回り0.3%から信託報酬0.19%を引くと実質の最終利回りは0.11%

残存年数が19年間なので、これから購入する場合、金利変動が無ければ0.11%が19年間続くということです。

目論見書を見ると、この投資信託は販売手数料が0.55%入口でかかりますので、結果コスト負けしてマイナスとなります。(下図の計算式参照)

10,000円55円(販売手数料)9,945円
9,945円×1.0011(実質利回り)9,956円

実はまだこのファンドは最終利回りが良い方なんですが、国内債券ファンドの平均最終利回りはおよそ0.10%というデータがあります。

(ちなみに先ほどのモーニングスターのサイトの72銘柄の平均平均最終利回りを計算したところ0.103%でした。)

そこから現時点での最安値の信託報酬が0.13%ですから、実質利回り-0.03%になります。(下図の計算式参照)

国内債券ファンド全体の平均最終利回り:0.10%-国内最安債券ファンドの信託報酬:0.13%=国内債券ファンド全体の実質最終利回り:-0.03%

債券に資産を置いておくと毎年減っていくことになります。

楽天銀行なら定期預金0.1%でいつでも元本保証なのでそちらの方が良いのではないかと思ってしまいます…

資産の分散のためとはいえ、果たしてここに投資する理由が見出せるのかということなんですね。

債券はインフレに弱い

それから債券というのはインフレに弱い資産です。

何故なら、利回りが今後も0%近辺だとすると、要は銀行にお金を預けるのと何ら変わらないので、物価が上がっていけば相対的に価値が目減りしていくということです。

ということは、国内債権ファンドに資産を置いていても全く増えないばかりか、コストの分だけ僅かながら減っていくという事が予想されます。

まとめと補足

以上がこれから積立投資を始めるとしたら、国内債権ファンドを持ってはいけない理由となります。

ただし、投資の成果がしっかり出て、ある程度まとまった資産が出来上がった段階で株式を債券に少しずつ移転していくというのはあり得ると思いますが、それは今後の金利動向を見ないと何とも言えないです。

もし債券を持つのであれば、個人的には「劣後債」なんかはアリかと思います。

細かい説明は省きますが、国内外の金融機関や上場企業が発行している利回りの高い債券です。

償還期間は若干短めですが、年率4~6%台と、発行体のデフォルトさえなければ魅力的な商品です。

実際ソフトバンクの劣後債で年率6%台のものは、バカ売れしていました。

ただし「最低でも20万ドル必要」というような、まとまった資金が必要にはなりますが、安定運用を好む方はよろしいのではないかと思います。

いずれにせよ、今後も超低金利が続くとすれば、債券投資はますます厳しくなっていきそうですね。